互いに素な整数と約分

 a_i,h_i を正の整数として、  r=a_i/h_i が成立しているとする(ここで  i=1,\ldots,n )。
さらに  h_i たちは互いに素であるとする。
(実は coprime と pairwise coprime は意味が違うが、今は前者の意味である。)
そうすると実は r は整数であることがわかる。
これは、整数の素因数分解の一意性を仮定すると明らかだが、それとは微妙に違った
やり方で示すこともできる。

まず、ある  b_i という整数たちにより  \sum_i b_i h_i=1 となることに注意する。
(実際はこの条件と素因数分解の一意性は同じようなものではある。)
よって
 \sum_i b_i \times \frac{a_i}{r}=1
となり、結局  r=\sum_i a_i b_i を得る。

この議論には別の応用があって、つまり以下の主張を示すときに使われる。
可換環 A (整域でなくてもよい)について、  \operatorname{Spec} A の上で局所的に定義された関数を
貼りあわせて大域的な関数を作ることができる。
簡単な状況だと、  a_i,h_i \in A があって(  i=1,\ldots,n )、
 a_i h_j=a_j h_i, \qquad \sum_i b_i h_i=1
となる(  b_i \in A )。
 r=\sum_i a_i b_i とすると、
 r h_j=\sum_{i} a_i h_j b_i=\sum_{i} a_j h_i b_i=a_j
となるので、  \operatorname{Spec} A_{h_j} 上で r と  a_j/h_j は等しい。